いまや当たり前になった共働き。
しかし私が小さい頃はクラスのほとんどのママが専業主婦でした。
そのこともあり、
「私たちの頃はみんな家庭で子どもを見たものよ?」
「保育園に預けてまでやらなくちゃいけない仕事なの?」
「親といたいだろうに、かわいそう」
と、おじいちゃんおばあちゃんになる先輩たちに言われるとママは自分を責めてしまいがちですよね。
身の回りの人に反対されながら、それでも仕事を頑張るって精神をすり減らすことだと思います。
今回の記事は「ママが働くことは子どもに悪影響なのか?」をテーマに、保育園や海外の研究の話も交えてお伝えします。
ママが働いていると悪い子になるのか?
20年ほど前、私が小学生の時、クラスの中にちょっと変わった男の子がいました。不登校・保健室登校を繰り返し、クラスに来たと思ったら持参したゲームを手放さず、机の上に足を上げて大声で叫ぶ、休み時間は女子のスカートめくり…などかなり自由に生きている子でした。
その子のことを親たちは“問題児”と話題にし、その原因を「あの家はママが働いているから…」と言っていたのを覚えています。「ママが働いていると、悪い子になってしまうのだろうか?」と、小学生ながらに疑問に思っていました。
たしかにその子は毎日学童に行っていました。私はむしろ学童の子たちを「放課後もお友達といられてうらやましいな〜」と思っていたくらいだったのですが、それが問題行動を起こす原因と親たちは考えていたようでした。
ママが働くことはいけないことなのでしょうか?お母さんが働いているから、その子は“問題児”になってしまったのでしょうか?
いま実際に働きながら子どもを育てている私にとって、いまだにひっかかっているこの出来事。
上記は私自身が経験した一例なのですが、Xなどを見ていると
「3歳までは手元に置いておくものよ」
「0歳から保育園にいれるなんてかわいそう」
「育児を人に任せて自分は働くの?子どもが大事じゃないのね」
などという言葉に傷ついている人たちの悲しいつぶやきが見られます…
海外の研究でわかる保育園が子に与える影響
ドイツで発表された研究では、育休が半年から1年に延長された前後の子ども達の、学歴・就業状況・所得が調べられました。
その結果「母親と一緒に過ごした期間の長さは、子どもの進学状況や所得などにはほぼ影響を与えていない」とわかったそうです。
フランスでは、育休を最長3年間取得できる法律が制定された後に、法改正前後の子どもを比較した調査が実施されました。結果、早期に保育園に入園した方が6歳時点での言語能力が高いことがわかりました。
小さいうちから子どもを保育園に預けたからといって子どもの将来に悪影響が出ることはなく、言語能力に関してはむしろ高くなる結果も出ている、とわかると少し安心できますよね!
参考文献)Shintaro Yamaguchi, Yukiko Asai, Ryo Kambayashi (2018),How Does Early Childcare Enrollment Affect Children, Parents, and Their Interactions?, Labour Economics, 55: Pages 56-71
Nabanita Datta Gupta, Marianne Simonsen, Non-cognitive child outcomes and universal high quality child care, Journal of Public Economics, Volume 94, Issues 1–2, 2010, Pages 30-43
保育園に通うことで得られるもの
ママが働いていることが子どもの気持ちに影響していないかといえば、それはしているでしょう。さみしい思いをさせていることも否定はしません。
でも、保育園で学べることだってたくさんあるんです。
- 集団生活のルール
- お友達とのやりとり
- 少し年上のお兄さんお姉さんへの憧れ
- 親以外の大人との信頼関係
…など、子どもにとっての学びや成長が保育園にはあります!
何よりママ自身にとって、個として生きられる時間があることで、いきいきと暮らせることが、結果的には素敵なママでいられることにつながると思います。
おわりに
働きながら子どもを育てるって大変です。
私は夜泣きや寝かしつけに困っているママたちのお話をよく聞きますが、子どもが寝てくれないと自分も寝られない。そして睡眠不足のまま仕事に行かなくてはならない。家事も炊事もしなきゃいけない。
忙しくて睡眠不足で、タスクがてんこもりで…そんな中で保育園を利用することに対して否定的なことを言われてしまうとどんどんネガティブになりますよね。
子どもが小さいうちから働くことに関しては色々な意見がありますが、お父さんやお母さんは自分たちが働くことで生まれるポジティブな側面もみながら、自信をもって仕事と育児に向き合ってもらえたらと思います。