子どもは家族にとって、どんなことがあっても絶対に守りたい存在ですよね。
しかしながら、悲しい事故は起きています。平成28年の消費者庁の発表によると、平成 22 年から平成 26 年までの5年間で、0歳児の就寝時の窒息死事故が160 件確認されています。
同じような悲しい事故を起こさないために、これらの事例から学ぶべきことを解説していきます!
窒息事故の内訳
0歳児の就寝時の窒息死事故の内訳は下記のようになっています。
顔がマットレスなどに埋まる | 33件 |
掛け布団等の寝具が顔を覆う・首に巻きつく | 17件 |
ベッドと壁の隙間などに挟まれる | 13件 |
ベッドからの転落に起因する窒息 | 7件 |
家族の身体の一部で圧迫される | 5件 |
ベッド上の衣類やクッション等で顔を覆われる | 4件 |
その他、詳細不明 | 81件 |
判明しているほとんどの原因は睡眠環境の安全性にあると考えられます。
また、「家族の身体の一部で圧迫される」については添い乳が原因であることが考えられ、一緒に寝込まないようにとの注意喚起がされています。
家庭の事情や毎日の育児に疲れている現状から注意してもしきれない部分もあるのではないでしょうか。だからこそ事前にできる環境整備や日頃からの寝かしつけ方法変更の練習が大切になります。
窒息リスクのある睡眠環境4つ
窒息の要因になる睡眠環境を主に4つ、それぞれがどのように窒息につながる可能性があるのか解説します。
1. 大人のベッド
大人のベッドは様々な点から赤ちゃんにとって危険な環境です。
まず、マットレスのやわらかさ。赤ちゃんのために作られているマットレスではないため、顔が埋まってしまう危険性があります。
さらに、大人と一緒に寝ることで、赤ちゃん自身は掛け布団をしていなくとも、大人の掛け布団がかかってしまう可能性があります。
そしてベビーベッドのような柵がないので、転落リスクもあります。実際の事故の事例としても、大人のベッドから転落したことによって壁との隙間に挟まって亡くなってしまった事例もあります。良かれと思って壁との隙間に毛布やクッションを詰めていたがゆえに、それらに鼻や口を塞がれてしまった例もあります。
大人のベッドの中で赤ちゃんのスペースを区切るためにベッドインベッドを使用されている方もいらっしゃいます。しかし寝返りを打てば転がり出てしまう可能性もありますし、ベッドインベッドそのものが窒息のリスクになってしまうのです。
2. やわらかい寝具
やわらかいマットレスや布団、毛布やブランケット、掛け布団、枕などはすべて窒息のリスクになります。
赤ちゃんが寝返りをうったり、反射でビクッとした拍子にうっかりうつ伏せになってしまったりしたときに、それらのやわらかい寝具が顔の下に入ってしまうと鼻や口を塞いで呼吸を妨げてしまうためです。
仰向けに寝ていても、顔にかかってしまった布団を払いのける力がなければ同様に危険です。
事故の内訳にも書かれていた、掛け布団等の寝具が顔を覆ったり首に巻きついたりしてしまった件に関しても、そこに掛け布団がなければ起こりません。赤ちゃんの寝床にはやわらかいものを置かないようにしましょう。
3. ベッドガード
大人のベッドに子どもを寝かせる際、転落防止のためにベッドガードをつけている方も多くみられます。しかしベッドガードとマットレスの間に隙間が空いてしまっていて、赤ちゃんの顔がその隙間に挟まってしまったという事故事例があります。
ベッドガードの使用は、一般財団法人製品安全協会が定めた製品安全基準(SG基準)で1歳半からと決まりがありますので、それ以前の使用は絶対に避けましょう。
SNSなどでは安全対策としてベッドガードを使用している部屋を紹介しているコンテンツも多くみられますが、情報の取捨選択には注意が必要です。
4. ソファやクッション
お昼寝などでよくみられるケースですが、ソファやクッションで寝かせるのは転落、そして鼻や口が塞がってしまう窒息リスクがあります。
SNSなどではビーズクッションの上や授乳クッション、枕で囲んだ中などに置くと安心してよく寝てくれるという投稿もありますが、ベッドガード同様に情報の取捨選択には注意が必要です。
もともとソファやクッションなどは“寝る場所”ではないので、寝かせるときはベッドや布団などの寝るための場所を選びましょう。
窒息を防ぐ、添い乳との付き合い方
添い乳をしたまま寝てしまい、気づいたら自分の下に赤ちゃんがいて亡くなってしまったという悲しい事故。当事者のママが「私が殺してしまった…」と話している記事も見られ、なんと表現すればよいかわからないほどの悲しい気持ちに襲われます。
参考記事)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210702/k10013112201000.html
しかし、添い乳の危険性がわかっていたとしても、体力も気力もギリギリのところで育児しているママにとって、添い乳はありがたく便利な手段であることは間違いありません。
「いますぐ、添い乳やめましょう!」というのは難しいですよね。毎日添い乳で寝かしつけしていると、それが当たり前だと赤ちゃん側も思っています。
しかし本来“飲む”ことと“寝る”ことは別行為です。
いまは赤ちゃんが「寝るときは飲むものだ」と覚えてしまっているから、飲まないと寝られなくなっているのです。
まずは就寝ルーティーンの順番を変更して、就寝の直前が授乳にならないようにしましょう。授乳と就寝の間に、お話したり、絵本を読んだり別の行為を挟むことで授乳と就寝を切り分けるのです。
そうして少しずつ“飲みながらでなく寝る練習”をしていくことで、赤ちゃんは「飲まなくても寝られるのか」とわかってくれます。最初は「いやだ!いつも通り飲ませて寝かせて!」と泣くかもしれませんが、赤ちゃんは適応力の塊。飲み終わってから寝なければいけない環境に置かれれば、それに適応していくことができます。赤ちゃんの力を信じてあげてくださいね。
悲しい事故が、そして悲しむ家族が、1つでも少なくなりますように。どうかこの記事をお役立てください。
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